「生成AI」「ChatGPT」などは知っていても、「ハルシネーション」「RAG」などのAI用語に正直ついていけない…。そんなあなたのために、2026年に押さえるべき7つのキーワードをやさしく解説します。
データ・回答の質に関わる用語
1. RAG(ラグ)― カンニングペーパー付きのAI
RAG(Retrieval-Augmented Generation / 検索拡張生成)は、AIが回答する前に外部のデータベースやドキュメントを「検索」してから答える技術です。
たとえるなら、カンニングペーパーを見ながらテストに答えるAI。普通のAIは学習済みの知識だけで答えますが、RAGなら「社内マニュアル」や「最新の顧客データ」を参照しながら回答できます。
たとえばカスタマーサポートで、RAGを搭載したチャットボットが製品マニュアルを参照しながら正確に答える。「自社固有の情報」に基づいた回答が可能になり、2026年現在、企業AI活用の基盤技術として定着しています。
2. ハルシネーション ― AIが自信満々に嘘をつく現象
ハルシネーション(幻覚)とは、AIが事実と異なる情報をもっともらしく語る現象です。
AIは「知っている」のではなく「次に来そうな単語を予測している」だけなので、知らないことでも自信満々に間違えます。「バグだからそのうち直る」と思われがちですが、構造的な特性なので完全になくすのは困難。だからこそRAGやファクトチェックが重要です。
覚えておくルールは1つ。「AIの出力は必ず人間が確認する」。これだけです。
3. プロンプトエンジニアリング ― AIへの「聞き方」の技術
あなたが書く生成AIへの司令文は、プロンプトと呼ばれます。
プロンプトエンジニアリングとは、AIへの「指示の出し方」を最適化する技術。同じAIでも聞き方ひとつで回答の質が劇的に変わります。すぐ使えるコツは「役割を与える(あなたはマーケティングの専門家です)」「出力形式を指定する(表形式で出して)」「条件を具体的にする(関東エリアの売上を前年比で)」の3つ。エンジニアでなくても身につけられ、重要性は増し続けています。
AIの「進化形態」
4. AIエージェント ― 2026年最大のバズワード
AIエージェントは、チャットボットとは根本的に別物。チャットボットは「質問に答える」だけですが、AIエージェントは自分で計画を立て、ツールを使い、複数ステップを自律的に実行します。
「来週の大阪出張を手配して」と頼めば、カレンダー確認→フライト検索→ホテル予約→上司に報告メール送信まで全部自動。市場規模は2030年までに数兆円規模に達するとも言われ、急成長中の分野です。注目はマルチエージェント――複数の専門エージェントがチームを組んで複雑なタスクをこなす仕組みです。
5. マルチモーダルAI ― 「見て・聞いて・読める」AI
マルチモーダルAIは、テキストだけでなく画像・音声・動画・グラフなど複数種類のデータを同時に理解・生成できるAIです。
「会議の録画を要約して」「この写真の商品を特定して」「グラフの異常値を見つけて」――こうした使い方が当たり前になりつつあります。主要AIモデルの多くがすでにマルチモーダル対応済みで、2026年にはテキスト以外のデータも検索できる時代に入っています。
AIのカスタマイズと共存
6. ファインチューニング ― AIを「自社専用」に育てる
ファインチューニングとは、既存のAIモデルに自社データを追加学習させ、特定業務に特化させる技術。「新入社員を自社業務に合わせて研修する」イメージです。
ただしコストと専門知識が必要なので、いきなり飛びつくのはNG。推奨される順番はこうです。
1. まずプロンプトを工夫する(コストゼロ)
2. それでもダメならRAGを導入する(中程度のコスト)
3. 最終手段としてファインチューニング(高コスト)
この順番を知っておくだけで、技術チームとの会話がスムーズになります。ちなみにRAG(キーワード1)とファインチューニングは混同されがちですが、RAGは「外部の情報を検索して参照する」技術、ファインチューニングは「AIそのものを再学習させる」技術。目的がまったく異なります。
7. AIコパイロット ― 全員の「隣にAIがいる」時代
AIコパイロット(副操縦士)とは、人間の仕事を横から支援するAIアシスタントの総称。GitHub Copilot(コーディング支援)、Microsoft Copilot(Office支援)、Salesforce Einstein(営業支援)など、あらゆる業務領域に広がっています。
業界予測では、2026年以降多くの業務アプリにAIコパイロットが搭載される見込みです。好むと好まざるとにかかわらず、全員がAIと一緒に働く時代はもうすぐそこです。
まとめ ― 明日からできる3つのアクション
1. 「AIの出力は必ず人間が確認する」を鉄則にする。 ハルシネーションは避けられない以上、AIの回答を鵜呑みにしないことが最重要リテラシーです。技術ではなく、ビジネスリスク管理の話です。
2. 7つのキーワードを「自分の言葉」で説明してみる。 「RAGはカンニングペーパー付きAI」「エージェントは自分で動けるAI」のように、自分なりのたとえで覚えればOKです。
3. 身近なAIコパイロットを1つ使ってみる。 Microsoft Copilot、ChatGPT、Claudeなど、すでに使える環境がある人は多いはず。議事録の要約やメールの下書きから始めてみましょう。「AIと働く」感覚は、使わないとわかりません。
ここで紹介した7つの概念は、2026年以降も長く使える基礎知識です。この7つを足がかりに、AIリテラシーを一歩ずつ高めていきましょう。

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